不動産開発放棄地を再生
日吉町保野田周辺の山林には、今から50年以上前、多くの人々の夢や希望がありました。
昭和49年頃、この地域では宅地や別荘地として開発する計画が進められ、全国へ向けて販売が行われました。
「いつか自然豊かな場所に家を建てたい」
「家族で過ごせる別荘を持ちたい」
そんな想いを抱きながら、多くの方が土地を購入されたことと思います。

しかし、その後の社会情勢の変化やバブル崩壊などにより開発計画は中止となり、広大な森林だけが残されました。
本来であれば人々の暮らしや交流の場となるはずだった土地。
それはいつしか管理する人も訪れる人も少なくなり、長い年月の中で忘れられた存在となっていきました。
今回、私たちが取り組みを開始した森林は約30ha。対象地全体では約60haに及びます。
所有者を調査した結果、1,208区画、903名もの所有者がおられることが分かりました。
一見すると数字に過ぎませんが、その一つひとつの区画の先には人生があります。
親から相続したものの場所が分からない方。
遠方に住み管理ができない方。
何とかしたいと思いながらも方法が分からなかった方。
私たちは、そのような声を数多く聞いてきました。

森林は誰かが悪意を持って放置したわけではありません。
時代の流れの中で、人と森林との距離が少しずつ離れてしまった結果なのです。
だからこそ私たちは、森林所有者を責めるのではなく、人と森林をもう一度つなぎ直したいと考えています。
所有を望まれない森林については、一般社団法人つなぐ森 日吉が引き受け、未来へ向けた森林再生に取り組みます。
森林の再生には長い時間が必要です。
10年、20年、30年という時間をかけながら少しずつ森を育てていかなければなりません。
私たちの活動は、今すぐ大きな成果が見えるものではありません。
しかし、今行動しなければ、さらに所有者不明森林は増え、森林は人とのつながりを失っていきます。
50年前に描かれた夢は形になりませんでした。
けれど、その土地には今も大きな可能性が残されています。
私たちは、この森林を「放棄された土地」として終わらせたくありません。
子どもたちが森に入り、学び、遊び、地域の人々が集い、未来へ価値を残せる森林へ。
そんな新しい夢を、この場所で育てていきたいと思っています。
何十年後かに、この森を訪れた誰かが、
「この森を残してくれてありがとう」
そう思っていただけるように。
一般社団法人つなぐ森 日吉は、未来へ向けて歩み続けます。